社団と財団は“何を土台にして成り立つか”が違います。ざっくり言えば、社団は「人の集まり」が主役で、財団は「財産のまとまり」が主役です。

一般社団法人などの社団は、活動に参加する人たち(法律上は「社員」と呼ばれます)がいて、その人たちの意思決定によって運営されます。大きな方針は社員総会で決め、理事が日常の業務を進めます。イメージとしては、会員制の団体やクラブに近いでしょう。
たとえば、地域のスポーツクラブが「子ども向けの教室を増やすか」「会費をいくらにするか」「指導者を増員するか」といった重要事項を、会員の代表が集まる総会で決める場面を想像すると分かりやすいはずです。会員が納得して決めた方針だからこそ、運営の手伝いを申し出る人が出たり、口コミで新しい参加者が増えたりして、活動が回り始めます。社団はまさに、メンバーの参加と合意形成が組織のエンジンになります。
また、業界団体のように「同じ目的を持つ人たちが集まってルール作りや研修を行う」タイプの活動とも相性がよいです。たとえば、小規模事業者が集まって勉強会や共同広報を行う場合、誰が代表になるか、今年はどんな企画をするか、予算をどう配分するかは、結局のところ人の意思決定で動きます。メンバーが増えたり入れ替わったりしても、総会で決め直しながら続けられるのが社団の強みです。
一方で、「人」が主役である以上、意思決定のスムーズさは運営に左右されます。意見が割れれば、意思決定を行うまでに時間がかかりますし、担い手が偏れば一部の人に負担が集中しがちです。だからこそ、役割分担や議事の進め方など、組織の設計が成果に直結します。言い換えるなら、社団は“人の熱量”で伸びる反面、熱量をうまく燃やすための仕組みが必要な法人形態だ、と理解するとイメージしやすいでしょう。

一般財団法人などの財団は、社団のように社員(構成員)が中心にいて「多数決で方針を決めていく」仕組みというより、設立時に用意した財産を土台にして、その運用や支出によって目的を実現していきます。たとえば、ある創業者が「地元の子どもたちに学ぶ機会を」と考えて一定額を拠出し、その資金から毎年奨学金を給付する―こうした“基金型”の活動は財団のイメージに近いでしょう。寄付を受け入れて原資を積み上げ、そこからスポーツ振興、医療・福祉、文化芸術の支援などを継続して行う団体も、財団の典型例です。
財団では「財産をどう活かして目的を達成するか」が軸になります。たとえば、運用益を使って毎年一定数の奨学金を出すのか、原資を取り崩してでも短期間に手厚い支援をするのか、あるいは災害などの非常時に備えて一定割合は積み立てるのか、といった方針は、活動の設計そのものです。人が入れ替わっても事業がぶれないように、目的や支援基準、資金の使い道を定款や規程で明確にし、「この財産はこういう公益のために使う」という“レール”を敷いて走らせる発想が強くなります。
そのため、財団では長期的な安定性が重視されます。たとえば理事長が交代しても、評議員会で選任・監督の仕組みが働き、財産の使途が恣意的に変わらないようにチェックされます。運営は理事などが担いますが、財産を扱う組織である分、ガバナンスの設計が重要で、評議員(評議員会)という監督側の機関を置き、理事の仕事ぶりや重要な方針が適切かを見張る構造になっています。寄付者や社会から見ても、「お金が何に、どれだけ、どう使われたか」が信頼の根拠になるため、透明性の確保は財団の生命線です。
少々荒っぽい言い方ですが、社団は“人の力”で回り、財団は“財産の力”で回る、という違いです。
社団が仲間の熱量で事業を広げていくタイプだとすれば、財団は財産という燃料を計画的に配分しながら、目的を長く安定して達成していくタイプ―そんな対比で捉えると理解しやすいと思います。