1 公益法人はもうけてはいけないの?

公益法人(公益社団法人・公益財団法人)をめぐる誤解のひとつに、「営利を追求してはいけない」というものがあります。確かに「公益」という言葉から、「利益=悪」と思われるのも無理はありません。 公益社団法人・公益財団法人(以下、公益法人)は、確かに営利を目的とする法人ではありません。ですが、「利益を出すこと」そのものが禁じられているわけではありません。

むしろ、公益法人が持続的に事業を行っていくには、安定した資金が必要です。そのための利益の確保は、経営的にも極めて重要です。 大切なのは、「もうけたあと、どう使うか」なのです。

2.公益法人の利益の使い道

(1)利益はあくまで「公益目的」に使う

公益法人が利益を上げたとしても、それを社員(株式会社でいう株主のような立場)や理事などに分配することはできません。
利益はすべて、公益目的事業に再投資されるべきものです。
つまり、公益法人の利益は「最終的には社会のために使われるお金」として機能するのです。これは株式会社とは大きく異なる点であり、「誰かの懐を潤すためのもうけ」ではない、ということを意味しています。

(2)収益事業もできるが、ルールがある

公益法人でも、収益事業を行うことは可能です。例えば、スポーツ教室の運営、出版物の販売、セミナーの開催などもその一例です。こうした活動から得られる利益も、きちんと公益目的事業に充てる限り、問題ありません。
ただし、税制上の取扱いや、公益認定の維持には一定の注意が必要です。収益事業が主たる活動となってしまうと、「公益性」が疑われることもあります。財務バランスや事業計画の整備は、専門家と相談しながら慎重に行うことが大切です。

3.まとめ

以上の通り、公益法人は「もうけてはいけない」のではなく、「もうけを公益のために使わなければならない」のです。
収支が赤字続きで運営に行き詰まるよりも、健全な利益を確保しながら、しっかりと社会に貢献していくことこそ、公益法人としてのあるべき姿だと言えるでしょう。