1. はじめに
母校の在学生で、経済的な理由から学業の継続が困難な生徒を支援したい――。
そんな思いを形にする方法のひとつが、公益法人・公益信託を通じた奨学金基金の設立です。
公益事業として行うことで、寄附金控除などの税制優遇を受けやすくなり、安定的な支援が可能になります。
2.公益法人で奨学金基金を行うメリット
- 税制優遇:寄附者は所得税や法人税の控除が可能です(寄附金控除の対象法人となる場合)。
- 信頼性の向上:公益法人は内閣府や都道府県知事の認定を受けた組織であるため、透明性の高い運営を行う必要があります。
- 長期的な継続性:基金の管理・運用が規程に基づいて行われるため、事業の継続が担保されやすくなります。
3.認定されるための主な条件(ガイドラインより)
(1)対象校の入学機会が開かれていること
誰でも受験可能な学校である必要があります。宗教や会員制などで入学が制限されている場合は認定が難しいことがあります。
(2)受益の機会の公開
募集要項・応募条件・選考方法をホームページ等で公表し、誰でも条件を知って応募できるようにします。
(3)公平な選考体制
理事会や外部有識者を含む選考委員会を設け、利害関係者を排除して選考します。
(4)特定の個人・団体の私益にならないこと
理事や寄附者の親族だけを優遇するような規定は認められません。
4.基本的な設立ステップ
(1)目的と事業計画を明確化
「〇〇大学在学生への奨学金給付を通じ、有為な人材を育成する」など明確な目的を定めます。
(2)奨学金基金規程の作成
募集・選考・給付方法、返還規定などを盛り込んだ規程を整備します(例:当財団奨学金基金規程)。
(3)公益法人の設立認定申請
一般財団法人または一般社団法人を設立し、その後公益認定を申請します。
(4)資金の確保
基本金(拠出金や寄附金)を集め、奨学金事業を継続できる財源を確保します。
(5)広報と寄付募集
ホームページや学校広報などで奨学金事業を広く告知します。
5.まとめ
母校への恩返しとしての奨学金基金は、受給者にとって大きな希望となるだけでなく、地域や社会にも良い循環を生み出します。
公益法人・公益信託として認定を受けることで、制度の信頼性・透明性を高め、より多くの支援を集めることができます。
「母校の後輩を支えたい」という思いを、確かな仕組みにのせて、未来の人材育成につなげていきましょう。