1.保有の可否と制約の正当化
公益法人は、公益目的事業(教育、スポーツ振興、文化振興など)を行うために設立されますが、その財源の確保や資産運用の一 環として株式を保有することは可能です。実際、多くの公益法人が、創設時の寄附財産や歴史的経緯で取得した株式を主要財産として運営しています。
しかし、株式保有は公益性を損なうおそれがある場合に制限や監督の対象となります。
例えば、単一企業株への過度な集中保有は、株価変動による資産の不安定化や、特定企業との密接な関係を生む場合があり、公益目的から逸脱していると判断される場合があります。
公益法人の資産は長期安定的に維持されるべきであり、資産運用は分散・安全性重視が基本です。
2.公益認定申請時における制約規定
公益認定法は、公益法人が営利企業を支配することを防ぐため、株式保有について一定の制限を設けています。特に重要なのが議決権割合による制限です。
【法的根拠】
公益認定法第5条第18号及び関連政令によれば、以下のような制約があります。
「公益法人は、他の会社の議決権の50%を超えて保有してはならない。」
(内閣府ガイドライン:「公益法人は、議決権の50%を超える株式の保有が禁じられていることに留意が必要」)
これは、公益法人が営利企業を実質的に支配することにより、公益目的事業よりも営利活動が優先される事態を防ぐためです。
保有割合の取扱い例(議決権ベース)
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保有割合 |
公益認定上の取扱い |
説明 |
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5%以下 |
原則問題なし(申請時の詳細記載不要) |
少額・分散投資の範囲 |
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5%超~50%以下 |
説明すれば可 |
公益性や利益供与の懸念がない理由を明示 |
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50%超 |
禁止 |
営利企業支配に該当し公益認定不可 |
保有割合の%は議決権が基準となります。株式会社で特別な手続を行うことにより一部の株式を議決権のない株式とすることができます。これを議決権制限株式といいます。
このような株式であれば、上記制約に抵触しません。
ただ、議決権制限株式を設けるための手続は煩雑であることが難点です。
- 株式保有自体は認められるが、集中保有や企業支配につながる場合は制限される。
- 議決権割合50%超の保有は禁止(公益認定法第5条第18号)。
- 安全・分散・透明性を重視した運用が求められる。