公益法人の運営には、多くの理事や職員が日々努力を重ねています。地域や社会に貢献することを目的に設立された公益法人ですが、実際の運営にあたっては理想だけでは進まず、現場ならではの悩みがつきものです。特に「人」「お金」「外部対応」「内部管理」に関する課題は、多くの法人に共通して見られるポイントです。
本コラムでは、公益法人の現場からよく聞かれる典型的な4つの課題を事例とともに整理し、実務的な解決策を考えてみたいと思います。
よくある事例
- 若手や外部人材が集まらない
- 役員の高齢化が進み、後継者探しが難しい
チェックポイント
- 役員報酬規程は整備されていますか?
- 役員候補を育成する仕組みは用意されていますか?
解決策
役員報酬規程を整備し、社会通念上妥当な範囲で報酬を設定することが重要です。また、専門家や若手を委員会メンバー・評議員として登用し、将来的な役員候補を育てる仕組みを整えましょう。「役員選任方針」を文書化しておけば、所轄庁や寄附者への説明責任も果たしやすくなります。
よくある事例
- 行政又は特定企業群のOBが慣例的に理事長を務めているが実務には関与しない
- 外部から「天下り法人」と見られ公益性に疑念を持たれる
チェックポイント
- 役員選任の基準は明確にされていますか?
- 任期制限や外部有識者の登用などバランスを取る仕組みはありますか?
解決策
役員選任の理由を「法人の事業に資する専門性・実績」に基づいて明示しましょう。任期制限を設けたり、外部有識者を登用したりすることで、ガバナンスが高まります。仮に行政OBを役員に迎える場合も、その知見をどのように法人運営へ生かすのかを明文化しておくことが必要です。
よくある事例
- 高額報酬で「公益法人らしくない」と批判を受ける
- 報酬が低すぎて有能な人材が就任を辞退する
チェックポイント
- 報酬規程の水準は「社会通念上相当」な範囲になっていますか?
- 他法人との比較データを用意していますか?
解決策
公益法人運営はボランティア活動ではありません。
公益認定ガイドラインに沿った「社会通念上相当な額」を基準に報酬を設定しましょう。その際、法人の規模や役員の責任・業務量を明確にし、説明責任を果たせるようにすることが大切です。他の公益法人の水準調査も行い、比較資料をもとに評議員会や所轄庁へ提示するのが有効です。
よくある事例
- 特定政治家に依存しているように見られる(政治家の後援会開催等)
- イベントの後援名義をめぐり行政との調整が難航する
チェックポイント
- 政治的中立を明文化したルールはありますか?
- 助成金・補助金の獲得ルートは多様化されていますか?
解決策
「政治的中立」を明文化した寄附・協賛ガイドラインを策定し、法人の透明性を確保することが重要です。また、資金調達は特定の政治家や政党に依存せず、多様なルートを活用することが望まれます。行政とのやり取りは公式文書を基本とし、意思決定の透明性を残すことで信頼性を担保できます。
ここで紹介した課題は、公益法人に共通してよく見られるものです。役員体制の見直し、規程整備、所轄庁対応、資金調達の工夫など、いずれも法人運営の根幹に関わるテーマです。問題を先送りすると法人の信頼や公益認定そのものに影響しかねませんが、早めに手を打てば改善できるものばかりです。
もし公益法人の運営で同じような悩みを抱えていらっしゃるなら、ぜひお気軽にご相談ください。私どもは公益法人の実務と法務の両面から、状況に応じた解決策をご提案いたします。