令和7年12月、日本の社会貢献の形を大きく変える新「公益信託法」が施行されました。これまでの公益信託制度は、主務官庁による許可制や受託者の制限などにより、必ずしも使い勝手の良いものとは言えませんでした。
しかし、今回の抜本的な法改正により、公益信託は公益法人と並ぶ「社会貢献の柱」へと進化を遂げました。私、中尾武史は、本制度の施行初日に、これまで運営してきた「公益財団法人中尾育英財団」の事業を引き継ぐべく、「公益信託中尾育英基金」の認可申請を内閣府へ行いました。
今回は、実務家弁護士の視点から、なぜ今「公益信託」が注目されるのか、その画期的なメリットを解説します。

公益法人の運営において、理事会や評議員会の招集・開催・議事録作成といった事務負担に悩まされるケースは少なくありません。
新制度下の公益信託では、意思決定機関としての「理事会」や「評議員会」を設置する必要がありません。基本的には、公益事務を遂行する「受託者」と、その受託者を監視・監督する「信託管理人」がいれば組織として成立します。
この「機関の不存在」は、意思決定の迅速化と運営コストの劇的な削減を可能にします。

公益法人が避けて通れないのが、収支相償・公益目的事業比率・遊休財産規制という「財務3要件」の厳格な管理です。
一方で、税制優遇の対象となる「特定公益信託(認可申請中)」として認められれば、これらの財務3要件による制約を受けません。寄附金や信託財産を、より柔軟に、かつダイレクトに支援対象者へ届けることが可能となります。
これまでの制度では、信託銀行などの信託会社が受託者となるのが一般的でしたが、新制度では個人であっても受託者になることが可能です。
今回、私、弁護士中尾武史が自ら受託者として申請を行ったのは、以下の理由からです。
・専門知見の活用:法的知識に基づき、公正かつ透明性の高い信託事務を遂行できる。
・実務経験の継承:中尾育英財団で培った奨学金支給事務のノウハウを、そのまま信託事務に反映できる。
・低コストな伴走:大規模な組織を維持する必要がないため、寄附者(委託者)の想いを最大限に活かした効率的な運営ができる。
現在、公益法人の解散や事業承継を検討されている皆様にとって、新公益信託は非常に有力な選択肢です。法人の解散に伴う残余財産を信託に移行し、シンプルな組織で永続的に公益活動を続ける。これは、これからの時代のガバナンスの最適解の一つと言えるでしょう。
「中尾育英基金」は、この新制度のトップランナーとして、学業に励む学生たちへの支援をより強固なものにしてまいります。制度の詳細や、既存の法人からの移行実務についてご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。