一般社団法人やNPO法人などが運営するスポーツ教室や大会において、保護者の存在は欠かせないサポーターです。しかし近年、レギュラー選考や試合の判定、あるいは指導方針に対する過剰な要求や執拗なクレーム、いわゆるカスタマーハラスメント(カスハラ)が社会問題化しています。
熱心さの裏返しとはいえ、現場で無償あるいは低報酬で汗を流すボランティア指導者に個人対応を押し付けてしまえば、指導者の精神的疲労を招き、最悪の場合は人材の流出や退職、さらには法的なトラブルへと発展しかねません。

このような問題に対し、「現場のことは現場で解決する」という態度は、法人としてのガバナンス(統制)を放棄していると言わざるを得ません。
法人格の種類が一般法人であれNPO法人であれ、法人の理事や役員は、職員やボランティア指導者が安全かつ健康に活動できるよう「安全配慮義務」を負っています。カスハラに該当する不当な要求の基準を明確にし、法人として「ここからは組織として毅然と対応する」というガイドラインを策定することが急務です。
こうした組織的な対応ルールは、理事会(またはNPOの役員会)においてしっかりと議論し、法人としての公式な方針として決定すべきです。実際の法人運営において、理事会は決算承認などの決まりきった議題だけでなく、現場のリアルな課題を解決する場として機能させなければなりません。
例えば、理事会の招集通知を作成する際、記載した事項以外の緊急課題についても柔軟に審議できるよう、決議事項や報告事項にそれぞれ「その他」を記載しておく実務上のテクニックがあります。これによって、現場で発生したカスハラ事案をタイムリーに役員間で共有し、専門家を交えて入会時や大会参加時の規約に「不当要求やハラスメントがあった場合の退会・参加拒否条項」を盛り込むなどの対策を迅速に進めることが可能になります。