スポーツ指導の現場において、かつて「熱血指導」として許容されがちだった体罰や暴言、パワーハラスメントは、現代において重大なコンプライアンス違反です。
一般社団法人やNPO法人、公益法人が主催する教室や大会でこのような事態が発生すれば、法人の社会的信用は一瞬にして失墜し、行政からの指導や助成金の打ち切りのみならず、最悪の場合は法的賠償責任を問われるリスクを孕んでいます。
2.役員に求められる「内部統制」と善管注意義務
ハラスメント問題を防ぐためには、個人のモラルに依存するのではなく、組織的な抑止力が必要です。
一般法人法やNPO法に基づく法人の理事・役員には、法人の業務が適正に行われるよう監督する「善管注意義務」があります。個々の違法・不正行為を察知して差し止めるだけでなく、そもそもそうした行為が起きないような組織的なリスク管理体制(内部統制)を構築する責任があるのです。
注意点として、この義務は報酬の有無(額)に関わらないという点です。無償だから責任はないはず…という理屈は裁判所では受け入れらないのです。
3.監事の独立性と相談窓口の設置

特に監事は、理事の職務執行を監査する要となります。監事がガバナンス上の重要な役割を適切に果たしていくためには、監督される側である理事からの独立性を確保する必要があります。一般法人法において、監事の報酬等の額について定款の定め又は評議員会(あるいは社員総会)決議が必要だとしている趣旨は、まさに監事が理事から独立して職務を行うことを確保するためです。理事からの不当な圧力を受けない独立した監事の機能と、現場から独立したハラスメント相談窓口を両輪として機能させることが、ハラスメントの隠蔽や不祥事を未然に防ぐ最大の鍵となります。